EC事業者全般
景品表示法とセール表示で気をつけること
セールや値引き表示を行う際に知っておくべき景品表示法の基本と、実務上の注意点を詳しく解説します。
2026/9/24
セールや値引きは効果的な販促手法ですが、表示方法を誤ると景品表示法に抵触するリスクがあります。「知らなかった」では済まされない法律のルールを理解し、安心してセールを実施できる知識を身につけましょう。
この記事でわかること
- 二重価格表示の基本ルールを理解する
- 「今だけ」「期間限定」の表示にも注意する
- 景品・プレゼント企画にもルールがある
- セール表示は具体的な根拠を残しておく
- 違反した場合のリスクを理解しておく
- 安全にセールを実施するための基本姿勢
二重価格表示の基本ルールを理解する
「通常価格〇円のところ、セール価格〇円」という表示は広く使われていますが、この「通常価格」が実態を伴っていない場合、不当表示とみなされる可能性があります。比較対象とする価格は、実際にその価格で相当期間販売していた実績が必要です。景品表示法のガイドラインでは、比較対象価格として使えるのは、セール直前の相当期間(目安として8週間のうち過半)にその価格で販売されていた実績がある場合とされており、この基準を満たさない「通常価格」を表示することは有利誤認表示に該当するリスクがあります。実際には販売実績のない高い価格を「通常価格」として表示し、大幅な値引きに見せかける行為も典型的な不当表示のパターンです。同様に、値引き表示とポイント還元表示は異なるルールが適用される場合があり「実質〇%オフ」という表現も混同しないよう注意が必要で、送料無料の表示も価格に送料分が上乗せされているのに無料を強調しすぎると誤解を招く表示とみなされる可能性があります。たとえば「通常価格10,000円→セール価格7,000円」と表示する場合、その10,000円で過去8週間のうち過半にあたる4週間以上販売した実績が必要になる、という具体的な期間のイメージを持っておくと判断に迷いにくくなります。新商品発売直後でまだ「通常価格での販売実績」自体がない場合は、そもそも二重価格表示を使わず単一価格で訴求する方が安全です。
「今だけ」「期間限定」の表示にも注意する
実際には恒常的に同じ価格で販売しているにもかかわらず、常に「今だけ」「期間限定」と表示し続けることも、優良誤認・有利誤認のリスクがあります。期間限定と謳う以上は、実際にその期間で価格や条件を変える実態が必要です。「在庫限りで終了」と表示しながら実際には継続して販売している状態も、購買を急がせる不当な表示とみなされる可能性があり、表示する以上は実際にその通りの在庫状況であることが前提です。インフルエンサーを起用したPRや、ライブコマースでの実演販売など、新しい販促手法にも同様に景品表示法は適用されるため、従来のルールを新しい手法にどう当てはめるかを都度確認する意識も欠かせません。たとえば「今週末までの期間限定セール」と表示した場合は、実際にその週末で価格を通常に戻すか、次のセールまで一定の間隔を空けるといった運用が求められます。
景品・プレゼント企画にもルールがある
購入者への景品提供には、景品表示法上の限度額が定められています。懸賞による景品提供、総付景品(もれなくプレゼント)など、企画の形式によって適用される限度額の計算方法が異なるため、企画前に確認することが重要です。限度額の計算を誤ると、良かれと思って用意した企画が思わぬ違反につながることもあるため、懸賞の種類ごとの規定を事前に整理しておくと安心です。たとえば総付景品の場合、取引価格が1,000円未満なら景品類の最高額は200円、1,000円以上なら取引価格の10分の1までという上限があり、これを超えるプレゼント企画は基本的に避ける必要があります。
セール表示は具体的な根拠を残しておく
「いつからいつまで、いくらで販売していたか」という記録を残しておくことで、万が一指摘を受けた際にも根拠を示せます。感覚的にセール価格を設定するのではなく、価格変更の履歴を管理する習慣をつけましょう。セール企画を立てる際は、表示内容が法律に適合しているかを確認するチェックリストを作り、複数人でダブルチェックする体制を整えることも有効です。簡単なガイドラインを作成して従業員とも共有し、消費者庁が公表している過去の措置命令事例を参考にすることも、自社の表示を見直すきっかけになります。たとえば「価格変更日・変更前価格・変更後価格・変更理由」を1行ずつ記録するだけの簡単な価格変更ログをスプレッドシートで管理しておくと、いざという時にすぐ根拠を提示できます。
違反した場合のリスクを理解しておく
景品表示法に違反した場合、消費者庁からの措置命令や課徴金納付命令の対象となる可能性があります。悪質性が高いと判断された場合は、企業名が公表されることもあり、ブランドイメージへの影響も大きくなります。誤った表示を公開してしまったことに気づいた場合は、速やかに訂正し、必要に応じてお客様への案内を行うことが被害の拡大を防ぎます。隠さず正直に対応する姿勢が、結果的に信頼の毀損を最小限に抑えます。たとえば課徴金は原則として違反していた期間中の対象商品の売上額の3%とされており、規模の大きい事業者ほど金額的な影響も大きくなる点に注意が必要です。
安全にセールを実施するための基本姿勢
「お得に見せたい」という気持ちは自然なことですが、誇張や虚偽のない、実態に即した表示を心がけることが、長期的な信頼構築につながります。迷った場合は、消費者庁のガイドラインや専門家への相談を活用しましょう。景品表示法のガイドラインは時折改定されることがあるため、消費者庁の発表を定期的にチェックする姿勢も欠かせません。自作自演のレビューや事実と異なる評価を掲載しないという基本姿勢、そして頻繁すぎるセールで通常価格への信頼を損なわないよう適度な頻度を保つことも、長期的なブランドの信頼構築につながります。たとえば大型セールは年に4回程度(季節の変わり目など)にとどめ、それ以外の時期は通常価格で安定的に販売するというように、メリハリのある価格戦略を持つことが、長期的な信頼にもつながります。
よくある質問
Q. 「通常価格」はどう設定すればいいですか? A. セール直前の相当期間、実際にその価格で販売していた実績が必要です。架空の価格を設定することは避けましょう。
Q. 「今だけ」という表示はどこまで使えますか? A. 実際に期間限定である実態が必要です。恒常的に同じ表示を使い続けることは避けるべきです。
Q. 景品・プレゼント企画のルールはどこで確認できますか? A. 消費者庁のウェブサイトに景品表示法のガイドラインが公開されており、企画前に確認することをおすすめします。
Q. 違反するとどうなりますか? A. 消費者庁からの措置命令や課徴金納付命令の対象となる可能性があり、企業名が公表されるケースもあります。
Q. 不安な場合はどうすればいいですか? A. 消費者庁のガイドラインを確認するか、専門家(弁護士など)への相談を検討しましょう。
Spiderで価格変更やセール設定を行う際も、表示の根拠となる販売実績を記録しておくことで、安心してセールを実施できます。






